江戸しぐさ



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『江戸しぐさ』とは...
  江戸しぐさは大勢の人が気持ちよく暮らすために、人間の人間への思いやりであり共生のマナーです。
  過密社会になっても日本人が忘れてきてはならいものがここにもあるように思えます。

以下参考文献:日本経済新聞社 発行 「江戸の繁盛しぐさ」より

 【傘かしげ】
 雨や雪の日、相手も自分も傘を外側に傾けてすっとすれ違う。
 お互いの体に雨や雪のしずくがかからないようにするとともに、
 ぶつかって傘を破らないようにする意味も含んでいた。
 昔の傘は番傘だったからだ。
 しかし、基本に相手に対する思いやりと譲り合いの精神が
 あってこそできること。

 【会釈のまなざし】
 すれ違いのしぐさ。お互いにさりげなく目であいさつし合うことで
 和やかになる。目は口ほどにものを言い、である。
 権力者に対しても決して卑屈にならないで、失礼のないような
 まさざしですれ違う。
 ましてや江戸っ子同士ならいつくしみのまなざしを交わす。
 【こぶし腰浮かせ】
 川の渡し場で、乗合舟の客たちが舟が出るのを待っている時、あとから
 乗ってきた新しい客のために、先客の二、三人は両側にこぶしをついて
 腰を浮かせ、こぶし一つ分の幅をつめながら、一人分の空間を作る。
 −−動作を分析すればこのようになるが、実際はそんなかたちをとらな
 くても譲り合う気持ちや気配がちょっとした中腰の姿勢でお互いに
 察し合えた。
 新客は先客に礼を言って席をしめる。
 電車やバスでも新客が乗ってきたらこうしたい、しぐさである。
 一人ふんぞりかえっているのはマナー違反。
 【束の間付き合い】
 見知らぬ人も仏の化身と考えて、町人同士の対等な付き合いがあった。
 渡し舟などで乗り合わせた束の間でも仏頂面をせず、和やかに軽く
 あいさつを交わした。ただし、会話は名前や職業を聞かないのが
 決まりで、差し障りのない天候の話題などを選んだ。
 一期一会の考え方によるもので、人間関係を円滑にし、江戸の
 住みやすさをつくるもとにもなった。

**江戸しぐさマメ知識**
  雑という字は、なんでもいいや、どうでもいいやという意味ではないんです。
  雑誌というのはあらゆる分野をカバーしている万能本という意味です。
  雑巾。これもどんな用にも役立つからそう呼ぶ。浴衣がくたびれてきたから赤ん坊のおしめにする。
  台布巾を使い古したから雑巾になる。
  雑学というのも同じです。何にでも通じているからなんです。
  取るに足りない知識の寄せ集めでは決してないんです。